こちらミクモ探偵事務所5



「で、聞きたいことって何ですか?」

三人を見るなり、隆宏は嫌な顔ひとつせずに部屋へ入れてくれた。
開口一番、彼はそう言った。

「中村さんの事について聞きたいんです」

未だじめじめモードの恵一に代わり、紘哉が口を開く。
羽兎も隣で恵一の背中をさすりながら、隆宏と向き合う。

しかし、誰一人として恵一の事について触れようとしなかった。

「中村さん、ですか……実は、あまりよく知らないんですよね」

「そうなんですか?」

「はい。仕事の関係で、会社に泊まることが多いんです。だから、あまり中村さんと面識が無いんですよね」

役に立てなくてすみません、と困ったように頬を掻いた。

< 144 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop