こちらミクモ探偵事務所5
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「で、聞きたいことって何ですか?」
三人を見るなり、隆宏は嫌な顔ひとつせずに部屋へ入れてくれた。
開口一番、彼はそう言った。
「中村さんの事について聞きたいんです」
未だじめじめモードの恵一に代わり、紘哉が口を開く。
羽兎も隣で恵一の背中をさすりながら、隆宏と向き合う。
しかし、誰一人として恵一の事について触れようとしなかった。
「中村さん、ですか……実は、あまりよく知らないんですよね」
「そうなんですか?」
「はい。仕事の関係で、会社に泊まることが多いんです。だから、あまり中村さんと面識が無いんですよね」
役に立てなくてすみません、と困ったように頬を掻いた。