こちらミクモ探偵事務所5
「……どうしてお前は、この仕事を選んだんだ」
隆宏の部屋を出た恵一に向かって、紘哉が問いかける。
恵一は少し驚いたような顔をした。
「え?何でって……やりたいからに決まってるだろ」
「本当にこの仕事がやりたかったのか?」
「な、何だよ。俺が刑事やってることに文句あんのか!」
「いや、別に」
紘哉の真摯な目に、恵一がたじろぐ。
紘哉は小さくため息をついた。
「前から思ってた事なんだが……ハッキリ言って、お前は刑事に向いていない」
「何でだよっ!」
「刑事なんて、人を疑ってなんぼな職業だ。時には自分の家族でも疑わなくちゃいけない。
そんなこと、お前にはできないだろ?」