こちらミクモ探偵事務所5
「落ち着いたから、そろそろ話しておこうかと思って」
「話すって何を?」
羽兎がポカンとしながら、紘子に尋ねる。
紘子は首を振り、恵一の手を払い除けた。
「ちょっ、酷くね?」
「ケイ兄にも話すから、お願いだから揺さぶらないで」
「……ハイ」
高校生を前にして、形無しな恵一。
どっちが上なんだか分からない。
紘子は部屋のドアを開け、三人を招き入れた。
羽兎が心配そうに紘子の顔を見る。
「紘子ちゃん……」
「大丈夫。私は平気だったから」
「本当に?」
「嘘だったら、今ここにいないから。それに、嘘吐けるほど器用じゃないから」
羽兎が入るのを確認すると、紘子は後ろ手でドアを閉めた。