こちらミクモ探偵事務所5
紘哉が訊く。
紘子は一瞬だけ僅かに目を見開いた。
しかし、すぐに柔らかい笑みに戻って言った。
「見付けられなかったよ、そんなもの」
あまりにも、すんなり出てきた言葉。
自分で言っておきながら、少しビックリする。
「そうか……」
「うん、ごめん」
紘哉は顔を逸らし、少し残念そうに息を吐き出した。
そして、腕を組んだ。
紘子は小さく笑い、話を続ける。
「それで、報告するために私は裏山の入り口に行った。そこから先の記憶は無いよ。気付いたら朝だった」
「でも、私が見たときに紘子ちゃん、家にいなかったよ?」
羽兎が心配そうに尋ねる。
先程から彼女の顔が晴れない。