こちらミクモ探偵事務所5
恵一みたいに紙を裏返したり、透かしたりする。
だが、やっぱりどこも変わったところはない。
「何でも知っている、と言うような口だな」
「だよね!何か腹立つよ!」
メモに腹を立てる羽兎。
彼女は紘哉からメモを受け取るなり、
「ライターある?」
と訊いてきた。
「……嫌な予感しかしないんだが、ライターもらってどうするつもりだ?」
「決まってるじゃん!燃やす!」
キリっとした顔で告げる。
羽兎は早く、とライターをせがんだ。
「ライターなんてねぇよ」
「え?持ってないの?」
「俺ら、タバコ吸いませんから。渡したくても、持ってないんですよ」
ニシシと笑い、恵一が羽兎から紙をもらう。
羽兎は拗ねて、そっぽを向いた。