こちらミクモ探偵事務所5

「あぶり出しだったら、どうするつもりだったのさ」

「こんな薄い紙であぶり出しなハズがない……」

その時、紘哉は何かを思い付いたように顔を上げた。
恵一から紙を引ったくり、紘子に鉛筆を要求する。

彼は鉛筆をもらうと、メモを薄く塗り始めた。
それを羽兎がポカンと眺める。

「何してんの?」

「いや、何かありそうな気がして……」

下の方を塗る。
すると、何かを書いたアトが出てきた。

「何コレ?英語?」

「分からない……」

更に濃く塗る。
アトが徐々にはっきりしてきた。

「これは……!」

紘哉の手が止まる。
三人は紙を覗き込んだ。

アルファベットの羅列が浮かんできた。

『T.Akimoto』

と読める。

一気に羽兎と恵一の顔が青ざめた。

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