こちらミクモ探偵事務所5
皆に気付かれないよう、箱を開ける。
「……」
弾丸が1つ、足りなかった。
「紘哉さん、どうしたの?」
千尋に肩を叩かれ、我に返る。
彼は首を振り、千尋の方を向いた。
「いや、何でもない」
「本当?朝も早かったし、大変だったら休んでもいいよ?」
「これくらい大丈夫だ」
食器棚を閉め、箱をポケットに入れる。
その後、千尋が色々と話し掛けてきたが、紘哉は生返事しか出来なかった。
1つの拳銃。
それぞれ別の場所に保管されていた弾丸。
1つは事件現場、1つは台所。
どうしてこうなったのか、彼には全く理解できなかった。