こちらミクモ探偵事務所5
紘哉は黒いネクタイを整え、千尋の部屋のドアを叩いた。
少し間があった後、ドアがゆっくりと開く。
「誰……って、紘哉さん!?」
「どうも、こんばんは」
予想していなかったのだろう。
千尋は焦ったような声を出し、ドアの前であたふたした。
「どど、どうしたの?こんな夜遅くに?」
「夜更けにすまない。実は、千尋さんの部屋に忘れものしちゃって……」
「え?忘れもの?」
千尋が首をかしげる。
彼は首を縦に振った。
「結構小さい、RPGに出てくるような《宝箱》なんだが」
「えーっと、あったっけなぁ……ここで待ってるのも何だし、ちょっと入ってもらえる?」
そして、彼女は大きくドアを開け放った。