こちらミクモ探偵事務所5
紘哉は後ろ手でドアを閉めた。
千尋はベッドの脇や、机の下などを探している。
紘哉も自分が《宝箱》を置いた周辺を探してみるも、見当たらなかった。
「どこ行ったんだろう……」
彼はふと、千尋の机の上を見た。
何枚か散乱しているルーズリーフには、文字がぎっしりと書いてある。
近くには、携帯電話とシャーペンがある。
紘子の言っていたことは、本当だった。
その机の端に、申し訳なさそうに置いてある《宝箱》。
故意に机の上を避けているのか、彼女はこちらを振り向きもしない。
「……あった」
「え?どこに?」
「机の上」
「嘘だっ!」
「現実」
紘哉の手には、例の《宝箱》とルーズリーフ。
彼女の顔が、一気に赤くなった。