こちらミクモ探偵事務所5
千尋は今にもオーバーヒートしそうだ。
いつになく、色気を帯びた切れ長の目。
着崩した、黒いスーツ。
今にもほどけそうな、緩めたネクタイ。
ワイシャツの間から見える鎖骨。
昼間とは違う、裏の顔の紘哉。
恥ずかしさで、彼女は頭が真っ白になった。
「紘哉さん、私、あの……」
「んー?ちょっと何言ってるか分からないな」
そう言って、彼は千尋の耳元に、薄い唇を近付ける。
「ねぇ、千尋。せっかく俺が相手してあげるんだ。だから――」
そして、低く、甘く囁いた。
「君の隠している事、俺に全て曝け出してみせて……?」
彼女は紘哉にしがみつくようにして、頷いた。
その顔は、恥ずかしさとよく分からない嬉しさで赤く染まっていた。