こちらミクモ探偵事務所5
彼はポケットに入っているボイスレコーダーに手を伸ばすと、気付かれないようボタンを押した。
「今日ふと思ったんだけど……もしかして、お父さんの事苦手だったりするのか?」
「え?何でそう思うの?」
「昨日、喧嘩してたから。それに、話題に出そうとするといつも話を逸らす」
「……」
「ねぇ、そこのところはどうなの?」
紘哉は千尋の掛けている眼鏡を外す。
そして、顔を近付ける。
もう逃げ場が無い。
千尋はおずおずと話し出した。
「嫌いって表現は、あながち間違ってないのかも……やっぱり、今のお父さんは好きになれない」
「何で?」