こちらミクモ探偵事務所5
「たまたま仕事が終わって、家に着いたら取引してた。麻薬って確証はないけど、白い粉持ってた」
「そうか……じゃあ、昨日怒ってた理由は?」
千尋が潤んだ目で、首を横に振る。
彼は手を耳から首筋へ、ゆっくりと下ろした。
「いや……恥ずかしいよ……」
「とか言って、本当は喜んでるんだろ?言わないなら、ゆっくり時間を掛けて剥いでくまでだが……」
薄い唇を耳に寄せ、そんな言葉を囁けば、彼女の体に鳥肌が立つ。
千尋は小さな声で言った。
「本当は疑いたくなかったけど、そう言う現場を見たから中村さんを殺したのは、お父さんじゃないかって思ってた」
「そうか……」
「それで、問い詰めても何も言わないし……思わず本音が出ちゃって」
そこの部分を、丁度紘哉たちが聞いていたと言うわけだ。