こちらミクモ探偵事務所5
訊くことは訊いた。
紘哉は近くにあった《宝箱》を取る。
「ねぇ紘哉さん、その中身って何なの?」
千尋が少し身を乗り出して訊く。
紘哉は《宝箱》から中身を1つ、手にとった。
「チョコレート」
「いいなぁ。私にもちょうだい!」
「言われなくても、君にあげるつもりだったよ」
「え?」
呆然と開く口にチョコを入れる。
彼女がチョコを食べるのを見た紘哉は、彼女を自分の方へ引き寄せた。
細身に見えて、結構しっかりとした体つきをしている。
彼の腕の中で、千尋は目を白黒させた。
「ちゃんと話してくれたんだ。ご褒美やるよ」
「え?ご褒美――」
彼に顎を掴まれ、上に向けさせられる。
徐々に近付いてくる彼の顔。
あぁ、もしかして、キスされるのかも――
千尋はゆっくりと目を閉じた。