こちらミクモ探偵事務所5
チョコに伸びそうになる右手を押さえ、腕を組む。
恵一は、テーブルに置いてあるボイスレコーダーを手にとった。
「それにしても、綺麗さっぱり忘れてたよ!実際問題、殺人事件起きちゃったし、それどころじゃなかったじゃんか」
「そうだけどな……」
「チーに何か言われたの?」
「いや、別に」
紘哉は頭を掻き、大きく息を吐き出した。
恵一がボイスレコーダーに耳をつけながら、不思議そうな顔をする。
「どうしたんだよ?」
「いや……いつもはこんなこと無いんだけど、今回に限ってなぜか罪悪感がある……」
「赤の他人とはいえ、俺の知り合いだからじゃね?」
「すまない……」
取り敢えず、恵一に謝っておく。
恵一はニコッと笑い、首を振った。