こちらミクモ探偵事務所5
第四章 見えてくる真実
聞こえない殺人
不安を抱えたまま眠りについた昨夜。
若干寝不足気味なまま、紘哉は下へ降りた。
「大丈夫?何か眠そうだよ?」
羽兎が心配そうに訊いてくる。
紘哉は欠伸を噛み殺し、朝ごはんご飯を咀嚼する。
「ケイに任せると言った俺がバカだった……」
「え?何か花形さんやらかしたの?」
「いや、別に。それなのに、底知れぬ不安が……」
「花形さんだからしょうがないよ!」
羽兎が紘哉に向かって笑いかける。
そして、彼女は恵一を一瞥した。
恵一と目が合う。
彼は羽兎に笑いかけると、味噌汁を飲んだ。
「あの自信はどこから湧いてくるんだか……」
彼の笑顔を見た瞬間、羽兎も何だかよく分からない不安に襲われた。