こちらミクモ探偵事務所5
「お前が口を閉じれば、世界の半分が平和になるぞ」
「……」
励ましの言葉を期待していただけに、ショックが大きい。
それでも、彼は気丈にも紘哉に聞き返した。
「世界の半分って、どれくらいだよ?」
「少なくとも、この場にいる全員は幸せになれる」
「……」
試合終了のゴングが鳴り響く。
悪魔を目の前にした恵一は、言い返す術もなく膝をついた。
打たれ強い恵一でも、さすがにコレには敵わなかったようだ。
白くなりつつある恵一をよそに、紘哉は一歩前へ出た。
「すいません、俺がコイツの間違いを訂正します」
「訂正?どういう事だ?と言うか、君は一体何なんだ?」
信夫が尋ねる。
紘哉は少し驚いたような顔をし、すぐに口角を引き上げた。
「探偵ですよ。貴方に掛けられた、麻薬密売の容疑を探るために派遣された……ね」