こちらミクモ探偵事務所5
「俺が思うに、今回の殺人事件は信夫さんから気を逸らすためにやったものじゃないかって思う」
恵一が前に出て、説明を始める。
彼の言葉は、不思議と心地よく感じた。
「それが、紘哉の言っていた『信夫さんを守るため』って事だと思う。
殺人事件を起こせば、そっちに目が行く。麻薬密売の容疑の事は忘れてくれる。
そう言う魂胆だったと思う」
「……」
千尋は泣きそうな目で、母親を見つめた。
みどりは、どこか諦めたような表情で口を開く。
「私……私は……」
「ちょっと待ってくれないかい?」
だんだんと、暖かい空気になっていくのをぶち壊したのは、信夫だった。
彼は恵一に詰め寄る。