こちらミクモ探偵事務所5
「これは……!」
「あぁ。秋元冬也の資料だ」
今回の事件で、一家を壊滅させたイチゴのセールスマンだ。
昔、世話になった警部に資料を要求したところ、いくつかコピーしてくれた。
「だけど、素顔や生い立ち、奴に関しては何一つ分かっていない」
「そんなぁ……」
「それに仲間が捕まったと言うのに、大人しくしていない。むしろ、最近は行動が活発化してきている」
「えぇー……」
「アイツは何を考えているんだ?」
「……」
難しそうな顔をする紘哉を、心配そうに羽兎が見つめる。
だが次の瞬間、彼女は思い出したように手を叩き、
「ねぇ、ケーキ食べようよ」
と言って、資料を投げ出した。
「……そうだな」
紘哉も立ち上がり、小さな給湯室へ向かっていった。
1つの大きな事件を解決。
今日もミクモ探偵事務所は平和である。
【完】