こちらミクモ探偵事務所5
荷物を持ち、二階へ上がる。
真ん中に廊下があり、左右にドアが三つずつあるのが分かる。
千尋は、一番手前のドアを開けた。
「狭くてごめんね。中村さんが来てて、ちょっと部屋がね」
「失礼しますが、中村さんとは?」
ようやく紘哉が口を開いた。
千尋は少し驚いた顔をした後、頬を緩めた。
「父の秘書です。それと同時に、家の遺産を管理してるんですよ」
「お父さん、幾つなんですか?」
「59です。当分は生きますよ」
そう言って彼女は笑う。
恵一も安心したように息を吐いた。
部屋には小さなテーブルと椅子があった。
狭くも広くもない、ちょうどいい広さだ。
「じゃあ、ごゆっくり」
千尋はドアを閉めて出ていった。
男二人、どこかむさ苦しい。
「……暇だな」
「じゃあ、トランプでもやるか!」
「……分かった。負けないからな」