こちらミクモ探偵事務所5

紘子はコクリと頷く。
羽兎の顔がパアッと明るくなり、彼女の手を握った。

「ありがとう!紘子ちゃん!」

「いえいえ」

「私の事もタメ口でいいからね!」

笑顔で握った手をブンブン振る。
それに少し戸惑いながらも、紘子は笑顔で返した。

何やかんやで一段落ついた後、おもむろに紘子が口を開いた。

「何かやりたいことある?」

「うーん……取り敢えず、ひろ……お兄ちゃんの所に行きたいかな」

「仲いいんだね」

「まあね」

笑いながら頭を掻く。
嘘をついていることが、何となく心苦しくなった。

「じゃあ、行きますか。そのお兄ちゃんの所に」

「うん!」

元気よく頷く羽兎を一瞥し、紘子は自室のドアを開けた。

< 28 / 224 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop