こちらミクモ探偵事務所5
「それにしても、本当に誰なんだろうか……」
二人の少し後ろを紘哉と羽兎が歩く。
紘哉は眉間にシワを寄せ、難しい顔をしている。
「やっぱり、イチゴのセールスマンが気になるの?」
「当たり前だ」
「でも、信夫さんにそれは聞かないでね。本当に尻尾掴めなくなるから」
「……分かってる」
そうこうしている内に、離れに着いた。
紘子はサンダルを脱ぐと、ノックもせずに勢いよくドアを開けた。
「お父さーん、ケイ兄遊びに来たよー」
「えっ!?」
紘子の背中でよくは見えないが、何やらバタバタと音がする。
恐らく、書類などを片付けているのだろう。