こちらミクモ探偵事務所5
軽く挨拶を済ませ、恵一はその場を立ち去ろうとする。
紘哉は彼の首根っこを引っ張った。
「何すんだよ!」
「……聞くこと、もう一つくらいあるだろ?」
「アレは……」
紘哉から目を逸らす。
それを見た紘子が呆れたようにため息をついた。
「今回は、ケイ兄の友達も遊びに来てるんだ。
こっちの黒いのが三雲紘哉さん。その隣が、妹の羽兎さん」
「ほうほう。なるほど……よろしく」
「よろしくお願いします」
恵一を押し退け、二人は部屋の外から頭を下げた。
恵一が軽く紘哉を睨む。
紘哉も彼を軽く睨み返した。
「言うなよ!」
「言わねぇよ。少なくとも、俺の口からは」