こちらミクモ探偵事務所5
安心したようにため息をつく恵一。
そんな中、紘子が信夫のデスクをバンと叩いた。
「……お父さん、ここ最近頻繁なんだけど」
「何が?」
「イチゴのセールスマン」
「……」
訊く手間が省けた。
しかし、部屋の中が嫌な空気に包まれた。
信夫は困ったように頭を掻き、中村は小さく笑う。
「何だ。そんなことか」
「何で最近セールスマン来んの?」
「イチゴが美味しい季節だから」
「そりゃあそうだけどさぁ……」
「さあさ、お父さんは仕事が忙しいんだ」
紘子は納得のいかない表情をする。
彼女を追い出すかのように、信夫は彼女の背中を押した。
そして、目の前でピシャリと扉を閉める。
呆然とする一同。
「お父さん……」
そう呟く紘子の背中が、どこか寂しげに見えた。