こちらミクモ探偵事務所5
くしゃみ
「うーん……何か怪しいよな」
夕食も済み、後は寝るだけと言う時。
恵一が手帳を片手に唸った。
「こんなこと疑いたくないんだけどさぁ。俺、本当におじさんが密売やってる気がしてきた」
「……取り敢えず、イチゴのセールスマンの素性を明かせば、自ずと信夫さんの事もハッキリするだろ」
「そうだけどさ」
布団を敷いていた紘哉は、小さく欠伸をした。
慣れない所に来ると、いつもの倍以上に疲れる。
その時、部屋のドアがノックされた。
恵一がドアを開くと、そこには少し縮こまった千尋が立っていた。
「夜遅くにごめんなさい。ちょっと訊きたいことがあって……」