こちらミクモ探偵事務所5
後ろから掛けられた声。
千尋は驚いたように振り向いた。
「いや、あの、その……」
「言いたいことがあるならハッキリ言えば?」
不機嫌そうに紘子が言う。
お風呂上がりなのか、髪が若干濡れている。
「紘子こそ何の用なのよ?」
「私はケイ兄に用があるの」
「え?俺?」
恵一が少し嬉しそうな顔をする。
紘子は頷き、彼を見た。
「何かね、変な音が聞こえたんだ」
「変な音?」
「そうそう。詳しく説明したいから中入れて」
「別にいいけど……」
ちらっと紘哉を見る。
彼は眉を寄せ、何やら考え事をしているようだった。