こちらミクモ探偵事務所5
電気が点いていないので、奥の方までハッキリと見えない。
しかし、そこで何かがあったことはハッキリと分かった。
むせ返るような血の臭い。
紘哉は部屋へ上がり、手探りで壁のスイッチに手を伸ばした。
パチパチと、何回か点滅する。
白熱灯が照らしたのは、昼間に見た豪華な部屋。
その床に横たわる、一人の男性。
彼の周りには、赤い液体が溜まっている。
「とととと、取り敢えず警察……」
「警察はお前だろ」
恵一は、震える手で携帯を取り出す。
「中村さん……!」
後から入ってきた紘子の目を、羽兎が慌てて隠す。
紘子はそれを手を除けようと必死になっている。
男性の側には黒い拳銃が落ちている。
「……」
紘哉の顔は、険しさを増すばかりだった。