こちらミクモ探偵事務所5
第二章 聞こえない殺人
完璧な現場
翌日。
大変な一夜を過ごしてしまった。
ややこしい状況と寝不足のせいで、紘哉の目はいつも以上に鋭さを増している。
同じく、恵一もげんなりとした顔をしている。
報告書を書いた上、上司に詰問されたらしい。
いつまでもぼーっとしているわけにいかないので、服に着替えて外へ出る。
向かう先は、事件現場だ。
「何でこんなことになっちゃったんだろうなあ……」
「……さあな」
「やっぱりさ、紘哉の背中辺りに死神がくっ憑いてるんだよ」
「何でそうなるんだよ」
「真っ黒いスーツ着てるからいけないんだ!」
「……うるさい。黙れ」