こちらミクモ探偵事務所5
「おはようございます!」
「おはようございます、花形さん。こんな朝なのに、元気なんですね」
「はい!羽兎さんの顔見たら、疲れも吹っ飛びました!」
ニコニコと笑う恵一。
いつだって、羽兎に対して敬語である。
羽兎の父親は警視総監である。
つまり、恵一のお偉いさん。
その為、年下であるにも関わらず、彼は羽兎に対してだけ紳士的である。
「……調子のいい奴」
毎度の事ながら、紘哉は呆れることしかできない。
彼は欠伸を噛み殺し、黄色いテープの向こうを見る。
「そろそろ行くか?」
後ろから声が掛かる。
紘哉は小さく頷いた。