こちらミクモ探偵事務所5
「千尋さん、ちょっと聞こえちゃったんだけどさ……どうして、お父さんの事怒ってたの?」
「えっ?」
羽兎の問いに、一瞬千尋の動きが止まる。
そして、取り繕うような笑みを浮かべた。
「アレは違うんだ!お父さん、私の大事にしているネックレスを無くしちゃって……」
「……」
目が泳いでいる。
こんなにも見え透いた嘘を吐く人がいるとは。
羽兎は眉を寄せ、紘哉は小さく溜め息をついた。
「話したくない、と言うことか……」
「何か言った?」
「いいや、何でもない」
首を振り、手元に目線を落とした。
取り敢えず、全員の聞き込みは済んだ。
後は恵一が戻ってくるのを待つだけだ。