こちらミクモ探偵事務所5
「取り敢えず、解剖記録をもらってきた」
「で、内容は?」
「それがさぁー……」
恵一が書類を下に置く。
そして呆れたように眉を下げた。
「いや、ホントね、何でこんな簡単なことにも気付かなかったんだろうって思うよ。俺ってやっぱり、無能なんじゃないかって思い始めてきてさ」
「何だ。ようやく自分が無能だって気付いたのか。遅すぎる」
「……」
一瞬の間。
そして、彼は悲しそうに下がっている眉を更に下げた。
「紘哉ぁ!お前って奴は何でそんなに冷たいんだよ!
俺さ、ちょっと傷付いたよ?今ちょっとセンチメンタルなん」
「いいから、早く、報告しろよ」
話を逸らす恵一に苛立ちを感じながら、紘哉はため息をつく。
恵一はあからさまにしょげたような顔をし、ようやく書類を読み始めた。