【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
大学へ行って更に勉強して…、というのはピンと来ないし、かと言って何かやりたい仕事があるわけでもない。
龍輝さんと一緒に居られるのは嬉しいけれど、だけど私はただ漠然と“今”を生きてる。
と、そんな風に感じてしまうことがある。
「龍輝さんは、今の仕事がしたくて入社したんですよね?」
「んや、それは違う」
「え?」
「俺も、なりたいモノなんかねぇよ」
龍輝さんが苦笑しながら私を見る。
「…今の会社、名前を言えばみんなが知ってる大手の企業だろ?
お前には“実力で入った”なんて言ったけど、でもほんとは違うんだ」
…違う?
「…実はあの会社、死んだ親父が友達と立ち上げたところで。
その友達のオッサンが“やってみないか?”って誘ってくれて。
その人、親父が死んだ後もずっと俺のことを気にかけててくれたみたいで、“卒業したら誘うつもりだった”なんて言われたら断れないだろ?」
「あ…、そうだったんですか…」
…龍輝さんのお父さんは、龍輝さんが小学生の頃に事故で亡くなった。
そのお父さんが遺した財産が結構ある。と言っていたのは、
大手企業の創立者だったからなんだ。