【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
「…なりたいモノは無い。
無いけれど、恩返しはしたいと思ってる」
「…恩返し?」
「俺を支えてくれた人たちみんなに“ありがとう”って気持ちを伝えたい。 だから仕事してる」
ありがとうを、伝えるために…。
「…あとは、周りを見返すためかな」
「え?」
「俺は創立者の息子。コネで会社に入ったのは事実。
だから俺を良く思ってない人ってのが少なからず居るわけ。
“気にするな”とは言われたけれど、コネの上に胡座(あぐら)をかくなんてしたくない。
俺はいつか、実力でアイツらの上に立つ」
優しくにっこりと、だけど力強い瞳が私を見る。
「…“なりたいモノは無い”って言ったけど、俺がなりたいのはコレかもな」
「…うん」
支えてくれた人たちへの恩返し。
コネの上に胡座をかかないという意思。
そして、「実力でアイツらの上に立つ」こと…。
龍輝さんのなりたいモノは、もうちゃんと決まってるんだ。
「…私のなりたいモノは、なんだろう?」