【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
……。
その日の放課後。
「……うそぉ…」
…昨日とよく似た、ザーザーと激しい音を立てる雨にまた足止めされてしまった…。
昨日より早い時間帯だから、私以外にもたくさんの人が呆然と空を見ている。
カバンを頭にやりながら駆けていく つわもの も居たけれど、私には絶対真似出来ない…。
「…優ちゃん、大丈夫かな」
…数分前、優ちゃんは「健吾さんのとこに行くから!」と早々に帰っていった。
「…折り畳み傘を持っていればいいけど…、普段持ち歩かない人だから、きっと無いよねぇ…」
……優ちゃん、御愁傷様です。 なんて思いながら空を見ていた時…――、
「自分の心配はしないんですか? 龍輝さんの彼女さん」
――…独特の言い回しで私を呼ぶ爽やかな笑顔の持ち主が近づいてきた。
「…新田くん」
……この爽やか1年生のせいで、今日1日の私は大変な思いをした。
私のところに来る人みんなが「新田くんと知り合いなの!?」やら「春樹くんと付き合ってるの!?」やら、
「龍輝さんと別れたの!?」やら「真由ちゃんばっかりズルい!!」やら…。
とにかくもう、疲れまくった。
「ストップ。それ以上近づかないで」
「はい?」
「今日色々噂されて大変だったの。
こんなところでまた喋ってたらまた噂されるでしょ。
だからこれ以上私に近づかないでください」
…って、もう既に周りの人はひそひそと話し始めてる。
結局、また明日大変なんだろうな…。
「先輩」
「…なんですか?」
「噂は噂でしかない。
事実と異なることなら、気にしない方がいいですよ」
にっこりと笑った新田くんが、躊躇いなく私の前に立つ。
「俺がアナタを“龍輝さんの彼女さん”と呼んでるのは、変な噂が立たないように配慮してたつもりだったんですが」
「え?」
「まぁでも、何をしてても噂が立つ時は立っちゃいますから。
そうなったらもう、気にせず居る方がいいです。
変に避けたら、それはそれでまた妙な噂になりますから」