【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3


――……。


……。


私の家とは真逆の方へと、20分ほど歩く。

そして、住宅街の中でそこだけが別世界のような、綺麗で可愛いお店が見えてきた。


「ここが俺ん家です」

「わぁっ…」


色とりどりの花たちが、一斉に明るく優しく私を迎え入れてくれる。


「…凄い。 凄く綺麗…」


思わず出てしまったそんな言葉に、新田くんは微笑む。


「何か作りましょうか」

「え?」


何か作るって…、え、どういう意味??




「新田くん?」


ワケもわからず新田くんを見るけれど、新田くんは何も言わず店の中へと入っていく。




「あ、おかえりなさーい」


店の中で、女の人がにっこりと笑う。

綺麗な人だなぁ…。


目が新田くんそっくり。
だからすぐに「新田くんのお母さんだ」ってことに気付く。


「お友達を連れてくるなんて珍しいわねー」

「四聖獣龍輝さんの彼女さんだよ」

「あぁ、あなたがよく話してる“あの”真由ちゃん!
そっかぁ、あなたが真由ちゃんかぁ。 ゆっくりしていってね」


ニコニコと微笑んでいる女性に、慌てて頭を下げる。
けど…、「“あの”真由ちゃん」って、新田くんは私のことをなんて話してるんだろ…。




「母さん、先輩にブーケ作ってもいい?」

「いいわよー、あなたのお給料から引いとくから」


「あは。それじゃあ遠慮なく作るよ」


カバンを置いて腕捲りして、それからにっこりと笑う新田くん。

…今、ブーケって言ってたよね。




「あの、新田くんっ…」

「はい?」


「…ブーケって、私に?」

「はい。色々迷惑かけちゃったお詫びです」


言いながら次々に花を選んでいき…、あっという間に花束を作り上げた。




「どうぞ。 未熟者が作った未熟なブーケですが、精一杯の気持ちを込めましたので」

「で、でも…、お詫びとかそんなの、気にしなくていいんだよ?」


「うーん、そう言われてももう作っちゃいましたんで。
先輩が受け取ってくれなきゃ困ります。
と言うか、先輩が受け取ってくれなきゃ花たちが悲しみます」


う…。
そんな風に言われたら、断れないじゃん…。




「真由ちゃん、貰ってあげて? この子の精一杯の気持ちだから」


……お母さんにまでそう言われたら、もう頷くしかない。

< 28 / 95 >

この作品をシェア

pagetop