【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
――……。
……。
私の家とは真逆の方へと、20分ほど歩く。
そして、住宅街の中でそこだけが別世界のような、綺麗で可愛いお店が見えてきた。
「ここが俺ん家です」
「わぁっ…」
色とりどりの花たちが、一斉に明るく優しく私を迎え入れてくれる。
「…凄い。 凄く綺麗…」
思わず出てしまったそんな言葉に、新田くんは微笑む。
「何か作りましょうか」
「え?」
何か作るって…、え、どういう意味??
「新田くん?」
ワケもわからず新田くんを見るけれど、新田くんは何も言わず店の中へと入っていく。
「あ、おかえりなさーい」
店の中で、女の人がにっこりと笑う。
綺麗な人だなぁ…。
目が新田くんそっくり。
だからすぐに「新田くんのお母さんだ」ってことに気付く。
「お友達を連れてくるなんて珍しいわねー」
「四聖獣龍輝さんの彼女さんだよ」
「あぁ、あなたがよく話してる“あの”真由ちゃん!
そっかぁ、あなたが真由ちゃんかぁ。 ゆっくりしていってね」
ニコニコと微笑んでいる女性に、慌てて頭を下げる。
けど…、「“あの”真由ちゃん」って、新田くんは私のことをなんて話してるんだろ…。
「母さん、先輩にブーケ作ってもいい?」
「いいわよー、あなたのお給料から引いとくから」
「あは。それじゃあ遠慮なく作るよ」
カバンを置いて腕捲りして、それからにっこりと笑う新田くん。
…今、ブーケって言ってたよね。
「あの、新田くんっ…」
「はい?」
「…ブーケって、私に?」
「はい。色々迷惑かけちゃったお詫びです」
言いながら次々に花を選んでいき…、あっという間に花束を作り上げた。
「どうぞ。 未熟者が作った未熟なブーケですが、精一杯の気持ちを込めましたので」
「で、でも…、お詫びとかそんなの、気にしなくていいんだよ?」
「うーん、そう言われてももう作っちゃいましたんで。
先輩が受け取ってくれなきゃ困ります。
と言うか、先輩が受け取ってくれなきゃ花たちが悲しみます」
う…。
そんな風に言われたら、断れないじゃん…。
「真由ちゃん、貰ってあげて? この子の精一杯の気持ちだから」
……お母さんにまでそう言われたら、もう頷くしかない。