【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3


ドキン ドキン ドキン....




龍輝さんは表情を変えない。

ただ真っ直ぐに、私だけを見つめている。




「…俺とお前は、ずっと一緒に居るんだと思ってた。
でもお前の気持ちが変わってしまったのなら、それは“仕方の無いこと”だと諦める」

「…っ……」


「お前はお前らしく、お前の道を行け」


私の、道…。




「もう行くよ。 じゃあな」

「…っ……龍輝さんっ…!!」


「あぁそうだ、来週から俺、名古屋に出張だから」

「え…!?」

「今日お前に会えてよかった。
いろんなことも、わかってよかった」


私から2歩離れた龍輝さんが、いつも以上に優しい顔で手を振る。




「ごめんな、真由」

「…っ……」


「そばに居られなくて、ごめん」

「龍輝さんっ…!!」


…なんで?

どうして龍輝さんが謝るの…?


龍輝さんが謝る必要なんてないなのに…、

なのにどうして、謝るの…。




「龍輝さんっ…」

「………」


「龍輝さんっ…!!」




…何度呼んでも、彼は振り返らない。

そばに寄って手を掴んで引き止めれば、きっと状況は変わる。


そうわかっているのに、私は龍輝さんの名前を呼ぶことしか出来なかった。


心に迷いがある。

だから、離れてしまうとわかっているのに、どうすることも出来なかった。




「…たつき、さん…」




もう見えなくなってしまった彼を想いながら、その名前を小さく小さく放った。


私の声はもう…、龍輝さんには届かない…。




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