【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
「…龍輝さんはもうこの街に居ない。
私の知らない場所に行っちゃったの。
もう私には、どうすることも出来ないの…」
龍輝さんと私はもう、一緒には居られない…。
「…先輩。 決めつけるのは、ダメですよ」
涙でかすんだ世界で、新田くんが笑う。
「龍輝さんはずっと先輩を想ってます。 何があっても、絶対に。
だから先輩も想い続けてください。
自分の想いを大切にしながら生きてください」
龍輝さんを、想い続ける…。
私の想いを、大切に…。
「…俺、もう行きますね」
「あ…」
「一瞬でも俺を想ってくれたのなら、嬉しいです。
でも俺、“龍輝さんと居る先輩が好きなんだ”ってことに気付きました。
だから絶対に奪えない。
あの人から先輩を奪ってしまったら、俺の好きな先輩は消えてしまう。
だから、諦めます」
新田くん…。
「色々とごめんなさい。
それと、ありがとうございました」
「…ううん。私こそ、ごめん…」
「…先輩と一緒に居られた時間、楽しかったです。
あぁそうだ、また家に来てくださいね。 母が喜びます」
「……うん」
「待ってます」
ひらひら、と手を振った新田くんは、爽やかな笑顔を見せて去っていった。
“自分の想いを大切にしながら生きてください。”
…ありがとう、新田くん。
そして、ごめんなさい。
……ごめんなさい、龍輝さん。
「………」
涙を拭い、携帯を開く。
【 笠井 龍輝 】
その名前を見つめ、小さく小さく息を吐く。
そして…、携帯を握りながら、ゆっくりと目を閉じた。