【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
相変わらずきょとんと私たちを見ている龍輝さんに答えたのは、新田くんだった。
「母が怪我をしてしまったので、先輩たちにお店を手伝ってもらってたんです」
「あー…そうなんだ」
チラリと新田くんのお母さんを見て、ペコリと頭を下げた龍輝さん。
そのままお母さんに近づき、なんだか困ったように微笑んだ。
「花束を作ってもらいたかったんですが、店長に作ってもらうのは…無理、ですよね」
「見ての通り、この怪我だからねぇ…。
あぁでも、私が指導して息子が作るので良いなら、いつでも大丈夫よー」
「あー…じゃあ、数日中にまた来ます」
「うん、わかったわ」
そんな短いやり取りを終え、龍輝さんは私を見る。
「仕事終わるまで、外で待ってる」
ドキッ…と心臓が鳴るくらいに、優しくて温かな笑顔。
龍輝さんはいつもと変わらないはずなのに、何故か心臓のドキドキは増していく。
「真由ちゃん真由ちゃん、今日はもう帰っていいよー?」
「へっ…?」
龍輝さんがお店を出ていったあと、新田くんのお母さんが笑った。
「あとは片付けとか整理とか、そういうので終わりだから。
今日は優ちゃんにやってもらって、明日からは真由ちゃん。
ね?だから今日はもう大丈夫よー」
「あ…すみません、ありがとうございます…!!」
「イケメン彼氏さんを待たせちゃ悪いものね。
あ、でもお店の前に立っててもらったら、笠井くん目当てのお客さん増えるかしら?」
ニコニコと笑う新田くんのお母さん。
確かに、龍輝さんが外に居たらいっぱいお客さんが来るかも…。
でも、こんな時間に大量のお客さんが来たら、かなり大変だけど…。
「母さん。いえ、店長さん。 余計なこと言わずに明日の準備してください」
「もー、ちょっと話してただけで怒ることないじゃない」
「あなたの話はいちいち長いんですから、少しは自重してください。
あ、先輩。 こっちは大丈夫なんで、行ってください」
優しく笑う新田くんに「ありがとう」と笑みを返したあと、カバンを持って歩き出す。
「真由ちゃん」
と、ドアの近くで待っていた優ちゃんが、そっと耳打ちしてきた。
「もしかして龍輝さん、真由ちゃんへのプレゼントを買いに来たんじゃない?」