【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
ワタナベさん?
「あ、会社の先輩がな、今度幼なじみと結婚するんだって。
でも、実はまだちゃんとしたプロポーズはしてないらしくて、近々するみたい。
で、その時に花束を渡すって言ってたんだけど、“花のことはよくわからん!! 良い花屋を探してくれ!!”って頼まれて。
俺だってそう詳しくはないけど、でもお世話になってる先輩だし、役に立てたらいいなぁと思って探してたんだ」
……会社の先輩のために、花屋を…。
そっか。
先輩のために、一生懸命お店を探してたんだ。
…なんだ。 そうだったんだ…。
「…馬鹿みたい」
「え?」
「……いえ、なんでもありません」
…さっきまでのドキドキは一気に消え失せ、今度はズキズキと痛んできた。
その痛みは全身へと広がっていき、そして…――涙となって溢れ出す。
「…真由?」
「……ごめんなさい、ちょっと、目にゴミが入っちゃったみたい。
今日は一人で帰ります。せっかく待っててもらったのに、ごめんなさい。
会社の先輩のプロポーズ、きっと上手く行きますよ。 だから龍輝さんは、しっかりサポートしてあげてくださいね」
「…真由、ちょっと待っ…――」
「私は大丈夫ですから。
だから、心配しないでください」
涙でグチャグチャになった顔で、精一杯の笑顔を作る。
「おやすみなさい、龍輝さん」
そう言い切るか否かの前にくるりと向きを変え、そして走り出す。