【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
……けれど、その数秒後。
お店から見えなくなったところまで走った時、龍輝さんに腕を掴まれた。
「…離してください」
「イヤだ」
「私は一人で帰りますから。 だから離してください。
私のことは放っといてください。お願いします。 一人で居たいんです」
「…そうだとしても、放っとけないよ」
「…っ……もう私は、龍輝さんと居たくないんですっ…!!」
バチッと視線がぶつかる中で、涙はボロボロとこぼれていく。
龍輝さんはそんな私を見つめ、涙を拭ったあとに小さく息を吐いた。
「ごめん。
なんで泣いてるか、ちゃんとわかってる」
わかっ…てる…?
「…そんなの、嘘です」
「うん、そう思うのならそれでもいい。
でも、ちゃんとわかってる」
「…わかるはずないよ。
龍輝さんには、絶対にわからない…」
お店を出た時のドキドキ、嬉しさや喜び、期待。
私が勝手に勘違いして勝手にドキドキしていただけだけど。
…でも、あの時は本当に、本当に本当に嬉しくて、心から笑顔になっていた。
ほんの一瞬だったけれど、本当に幸せな気持ちだった。
あの時の私の気持ちが、龍輝さんにわかるわけがない…。
「…そう思うのなら、それでもいい」
そう言葉を繰り返した龍輝さんは、私から離れて背を向けた。
「ごめん」
言いながら、私とはまったく逆の道を一人きりで進んでいく龍輝さん。
涙は相変わらずボロボロとこぼれ落ちていくけれど、私は何も言えずにそれを見ていた。
…そして私も、龍輝さんに背を向けて歩き出す。
1歩、また1歩と龍輝さんとの距離は開き、それと同時に、心の距離も開いていったような、そんな気がした。