【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3


ドクン ドクン ドクン....


どうして龍輝さんは、こんな風に私を見ているの…。


ズキン ズキン ズキン....


私たちはもう…、もう近づけないの…?




「て、店長は…居ません…」

「息子さんは?」


「奥に…」

「じゃあ、少し話してきてもいいですか」

「…はい…」


淡々と言葉を繋げ、そして私に頭を下げた龍輝さんは、それ以上は何も言わずに私の横を通りすぎていった。

店員と、客。
それだけのやり取り…。

それ以上は無い、悲しいやり取り…。




…どうしよう。涙が、我慢出来ない。

でも、こんなところで泣いちゃダメ…。
お客さんの前では、笑顔で居なきゃダメ…。




“これを持って、そして笑ってください。”




「新田くん…」


握っていた黄色の花を見つめ、深く深く息を吐く。


……大丈夫。

そう言い聞かせ、顔を上げて笑顔を作る。




私は今、花屋の店員だ。

花は人の力になり、勇気になり、そして、笑顔をもたらす。


私は、花を買いに来た人たちの幸せのために、笑顔で居なくちゃいけない。

泣くのは帰ってからでいい。
ここに居る間は、私は絶対に泣かない。


そう強く強く思いながら、仕事を再開させた。

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