【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
…どう答えればいいの?
いつものように話せばいい?
それとも、店員として淡々と答える?
…龍輝さんの言葉は“私”に向けられているけれど、でも、“私”のままで答えるのは、なんだか怖い…。
龍輝さんの笑顔はいつもと変わらないけれど、その先にあるのが「別れ」だったら…、私は“私”のままでは、答えたくない…。
「…パンジーの花束を持っているお前を見て、凄く似合ってると思った」
答えない私をよそに、龍輝さんの言葉は続いていく。
「…本当に綺麗だった。
俺の知ってる真由とは、まるで別人だった」
龍輝さんはずっと微笑んでいるけれど、その微笑みの意味が、わからない…。
「だから俺は、お前に花を贈るのをやめた」
「…え…?」
「馬鹿だと思うかもしれないけれど、花は、特別な日だけに贈ろうと思った」
特別な、日…。
「龍輝さん、それって…」
「……悪い、そろそろ戻らなきゃマズいから、もう行くよ」
「あ…はい…」
「夕方迎えに来る。
今日、ウチに寄っていきな?」
「…はい」
私が頷くと、龍輝さんは優しく笑う。
それから新田くんのところへ行って声をかけたあと、もう一度私を見た。
「じゃあ、またあとで」
ひらひらと手を振り、そのままあっという間に行ってしまった。
「特別な日…」
龍輝さんは、“その日”に私へ花を…?
「…特別な日、か…」
その日がいつなのかは、私にはわからない。
だけどそれでも、龍輝さんはその日を想いながら行動している。
私…、私も、その日を想いながら生きていこう。
龍輝さんが言う“特別な日”を想いながら、今を生きていこう。
そんな風に思いながら、ドアを見つめて微笑んだ。