【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
……。
その日の夕方。
ビシッと決めたスーツ姿の男の人が、お店にやって来た。
「えっと…笠井って名前でブーケを頼んでたんですけど…、出来てますか?」
緊張した面持ちのこの人が、龍輝さんの言っていた渡辺さんらしい。
「もちろん出来てますよー」
「あ、よかった。ありがとうございます」
バラをメインとした美しい花束を見て、渡辺さんは嬉しそうに笑う。
優しそうな顔がいっそう優しくなり、新田くんに深く深く頭を下げてから帰っていった。
「花は人の力になり、勇気になり、そして、笑顔をもたらす」
独り言のように言った新田くんは、私に笑みを見せてから奥へと消えていった。
…新田くんの言葉の通り、花は人の力になり、勇気になり…、そして、花をプレゼントする側もされた側も、みんな笑顔になる。
新田くんのお仕事は、人を幸せにする仕事。
凄いな…凄く素敵なお仕事だ。
「私も…、みんなを笑顔に出来るようなブーケ、作ってみたいな…」
そう呟いた時、後ろからガシッと腕を掴まれた。
「真由ちゃん、ウチに就職けってーい」
「て、店長っ…!!」
そこに居たのは、にっこりと笑う店長…新田くんのお母さんだった。