【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
「まだ就職先決まってないんでしょー? だったらウチに就職しちゃいなさい。
ほら、面倒な面接とか無しでいいんだから楽チンよ?
まぁ、その分ビシビシ鍛えていくけどね!!
あ、でもウチに就職したら常に春樹と居ることになっちゃうから、笠井くんが嫉妬しちゃうね」
「あ、あのっ…」
「春樹は真由ちゃんのこと好きだからなぁ、危険な三角関係だね。
まぁ、危険じゃない三角関係なんて聞いたことないけど。
でも私はねー、真由ちゃんと春樹が結婚してくれたら嬉しいなー。
やっぱり息子には幸せになってもらいたいでしょー?
それに、春樹の代で店が終わっちゃわないか心配だもん。
だから真由ちゃん。 ウチに就職して、そのまま春樹と結婚しちゃいなさい」
「え…!?」
な、なんか話が段々違う方へ進んでるんですけど…!!
「あ、あの私っ…――!!」
「店長。あんまり変なこと言ってると、もう買いに来ませんよ?」
「――…えっ…!?」
ふわり、後ろから肩を抱かれる。
そこに居たのは、私服姿の龍輝さんだった。
「渡辺さん来ました?」
「うん、さっき来て持っていったよー。
お花ね、凄く気に入ってくれたみたい」
「そうですか、よかった」
「それでね笠井くん。真由ちゃんウチに就職することが決定したから、春樹と結婚させるね」
「就職は良いですけど、結婚はダメです」
「あら、ケチねー。
じゃあこうしましょう!! 笠井くんは1番目の恋人で、春樹は2番!!
うん、これならオッケーね」
「何言ってるんですか。 恋人に1番も2番も無いですから」
そう笑った龍輝さんは、私を見て優しく言う。
「恋人は一人でいい。そうだろ?」
「は、はいっ…」
ドキッ…。
店長の前だというのに、龍輝さんはキスしちゃいそうなくらいに顔を近づけている。
龍輝さんの息遣いがわかるくらい近くて、本当に、キスしちゃいそう…。
「ひゃー、若いって良いわねー。
オバサンがそんなことやったら、辺り一面凍っちゃうわ」
「店長はまだ若いじゃないですか。
ご主人と試してみたらどうです?」
「あはは、お世辞どーも。
そのうち試してみるわ。なんてね」
二人はそんな風に言葉を交わし、また笑う。
それから龍輝さんは、店の奥を見てゆっくりと歩き出す。
「ちょっと話してくるから、帰りの準備しといて」
「あっ、はい!!」
新田くんのところへと向かった龍輝さん。
いったい何を話すんだろう? 渡辺さんの花束のことかな?
そんなことを考えながら、帰り支度を始める。