【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
for you
――……。
……。
私たちは手を繋いだままマンションへと入った。
いつもと変わらない通路、いつもと変わらないエレベーター、
そして、いつもと変わらない龍輝さんの部屋のドア。
「ただいま」と声をかける龍輝さんもまた、いつもと同じ。
…だけど、玄関を開いたところで見えたのは、いつもとは違った光景だった。
「おかえり、龍輝」
…缶コーヒー片手に、壁に寄りかかった男の人が私たちを見る。
その人は、この街には住んでいないはずの人…――朔也さんだった。
「朔也さん!? ど、どうしてここに…!?」
驚きと戸惑いを隠せない私に、朔也さんは微笑む。
「俺だけじゃなくて、みんな来てる」
「…みんな?」
「来て」
朔也さんは私の手を躊躇いなく掴み、部屋の奥へと進んでいく。
そして…――、
「えっ…な、なにっ…?」
――…部屋の中には、仲間たちが居た。
みんながみんな笑顔を見せていて、どこか嬉しそう。
そしてそのみんなの手前に、ビックリするくらいの量のご馳走が並んでいる。
「真由ちゃん。メールの返事、しないままにしちゃってごめんね」
申し訳なさそうに顔の前で手を合わせる優ちゃん。
「龍輝はいつも急だから、準備するのが大変だったなぁ」
「え、健ちゃんはコップ並べただけじゃん」
「お前はつまみ食いばっかりだろ」
優ちゃんの隣で豪快に笑う健吾さんと、その横でいつもみたいにけらけら笑う大雅さん。
「真由先輩、おめでとうございます!!」
「ちょ、綾ちゃん綾ちゃん、まだ“おめでとう”は早いよー?」
「あっ…す、すみません、ついっ…!!」
あたふたしながら頭を下げる綾ちゃんと、チューハイ片手にニコニコ笑ってるマコさん。
「驚かせてごめん。
でも、全員居ないとダメなんだ。って龍輝は言ってるし、俺たちもそう思ってる」
そう言って、みんなのところへと行く朔也さん。
「ど、どういうことですか…?」
訳もわからず、みんなの顔を呆然と見ていた時…。