【完】校内1のイケメンに恋をした!! 3
……。
その後、仕事がある大雅さんは仕事場へ向かう準備を始め、綾ちゃんも帰りの支度を始める。
大雅さんは「結婚式には呼んでね」と笑い、その次に「俺たちの結婚式にも是非参加してね」とウィンク。
目をうるうるさせてる綾ちゃんの手を引き、二人は部屋を後にした。
酔ってフラフラのマコさんは「面倒だから泊まっていく!!」と言ったけど、朔也さんが疲れた顔で彼女を抱き起こす。
二人は電車で来たらしいから、帰りも電車だけど…「この状態で電車に乗せたら多分吐かれる」と朔也さんはため息混じりに言い、仕方なしに今日は朔也さんの実家にマコさんを泊めることにしたみたい。
「親とマコの初対面が“コレ”だなんて、なんか嫌だな…」
そうぼやきながらも、朔也さんの表情は明るい。
「…朔也さん、とっても幸せそうですね」
思わずそう言ってしまった私に、朔也さんはまた笑う。
「幸せだよ」
躊躇いのない、温かで優しい言葉。
朔也さんはそう微笑んだまま小さく手を振り、半分眠った状態のマコさんを連れて部屋を出ていった。
「じゃあ、私たちもそろそろ帰るね」
部屋の片付けを終えた優ちゃんが笑う。
一緒に片付けをしていた健吾さんは今、トイレに行ってるらしい。
「私ね、昼間に龍輝さんと電話で話して、それで今日のことを聞いたんだ。
ずーっとニヤニヤが止まらなくて、ほんっとどうしようかと思っちゃった。
真由ちゃんにちゃんとメールの返事をしたかったんだけど、でもなんかこう…、ポロッと言っちゃいそうだったから、何も言わない方がいいなって思って。
龍輝さんにも“黙ってろ”ってかなり脅されてたしね」
「脅しじゃなくて、念を押しただけだろ」
「いやいや、あの時の龍輝さんは恐かったよー? 電話越しに物凄い殺気を感じた!!」
「…そんなつもりは、なかったんだけどなぁ」
苦笑しながら頭を掻く龍輝さんに、優ちゃんはけらけらと笑う。
「一時はどうなることかと思ったけど、でも、私の大切なお兄ちゃんと大切な親友が幸せになって良かった。
これからも、ずっとずっと仲良くね?」
「…ありがと。
お前も、健吾と仲良くやれよ?」
「大丈夫、うちはかかあ天下だから!!」
「…って、自信満々に言うようなことじゃない気がするけどな」
そんなことを笑い合ってるうちに、健吾さんがトイレから戻ってくる。
「なに、どうした?」
「別になんでもないよー。
さ、健吾さん帰ろー!そして明日も勉強頑張ろー!!」
言いながら、優ちゃんは玄関へと歩いていった。
それを見つめる健吾さんは頭の上に はてなマーク を浮かべていたけれど、優ちゃんの姿が見えなくなった時に唐突に私を見た。
「真由ちゃん、今度、花束を作ってもらえないかな?」
「え? 私が、ですか?」
「うん。まぁ“今度”って言っても、何年も先になると思うけど。
でもその“特別な日”に、真由ちゃんが作った花束をアイツに渡したいんだ。
ずっと一緒に過ごしてきた真由ちゃんに、俺たちの花を作ってもらいたい」
にっこりと笑う健吾さんの言葉に、胸がジーンと熱くなる。
「…私、頑張ります!!
二人のことを想って、精一杯やらせて頂きます!!」
「ありがとう、期待してる」
「はい!!」
力強く返事をし、しっかりと頭を下げる。
健吾さんは「俺も頑張るよ」と微笑み、手を振りながら部屋を出ていった。