君色。-kimi*iro-
思わなかった。こんなに残酷だなんて、よりにもよって…そんな顔をさせるなんて
「…………いっつぅ……」
鈍痛が身体を走る
どうなってんだ。全てが分からない
廻る思考を振り切り、断片的に思い出す
「喧嘩…になった……だ……。な…ほ…さ、ん……?」
上手く発音が出来ない
途切れ途切れに捺穂さんの名を呼んだ
あれは、ちょっとした些細なことで口論になった
もういいと振り切った手を
俺を呼ぶ捺穂さんの声を
頭…が……痛い
「大丈夫ですかっ!?早くっ早くっ救急車をよべっ」
「警察もだっ」
「捺穂せんせいっ!?」
辺りが騒がしい。起き上がれない。何なんだよ、捺穂さん…
どこにいんだよ……?