君色。-kimi*iro-
「すいません。椎名捺穂さん、何号室ですか?」
「椎名さんは306号室です」
若そうな看護婦が愛想良く教えてくれた
靴の擦れる音を聞きながら306号室に向かって歩き始めた
「………ここか…」
-椎名捺穂-
名前を確認して病室に入った
目当ての人は窓の外を見ながら笑っていた
「……お久しぶりです。捺穂さん」
「……えっと………桜君?」
「はい……」
ゴクリと喉が鳴った
緊張してる。2年ぶりだ
あなたに逢うのに酷く遠回りしたような…成長だけ進んで心は止まったままのような……
そんな気分だった