君色。-kimi*iro-

いつもより少し遠回りで歩く
後ろに下がって歩く悠紀がゆっくりと前に寄ってきた

「………き」

「…え?」

「……………仕事とか抜きで、あたし。



桜が好きだよ」

「………今ここでいう?」

「……もう嘘つけないもん」

握る手が強くなる


「……好きだよ。最初から」


触れる手から伝わる熱に浮かされそうだ



「嬉しい。

やっと…触れられる」


振り向いて悠紀の頭をそっと撫でる
自分の方に引いて抱きしめて、ゆっくりキスをした



「……ん…」

「可愛い」

「馬鹿っ」

悠紀の顔が笑顔に変わる
胸が締め付けられるような衝動に駆られて思いっきり抱きしめた


「応えてくれてありがとう」

< 200 / 212 >

この作品をシェア

pagetop