君色。-kimi*iro-
いつもより少し遠回りで歩く
後ろに下がって歩く悠紀がゆっくりと前に寄ってきた
「………き」
「…え?」
「……………仕事とか抜きで、あたし。
桜が好きだよ」
「………今ここでいう?」
「……もう嘘つけないもん」
握る手が強くなる
「……好きだよ。最初から」
触れる手から伝わる熱に浮かされそうだ
「嬉しい。
やっと…触れられる」
振り向いて悠紀の頭をそっと撫でる
自分の方に引いて抱きしめて、ゆっくりキスをした
「……ん…」
「可愛い」
「馬鹿っ」
悠紀の顔が笑顔に変わる
胸が締め付けられるような衝動に駆られて思いっきり抱きしめた
「応えてくれてありがとう」