君色。-kimi*iro-
優しさと嘘
「俺もう帰るわ」
「え?」
「家で前田さん待ってるし」
「前田さん?」
母が訝しげな顔で俺を見る
そっか…悠紀の存在って知られて無いんだ
「知り合いの猫だよ、預かってんだ」
だから、帰らなきゃ…と席を立つと母と父に呼び止められた
「…………何?」
「話がある」
「今じゃなきゃ?」
「………駄目だな」
「分かったよ……」
大人しく父達の後ろについて行く
けど……心臓はドキドキしてる
早鐘を打ってる
落ち着け………
深く息を吸い込んだ