レガートの扉
【0】
「ああ、全部俺のせいだな」
今でもふと思い出す、あの場面。
泣きながら別れを告げた、あの瞬間の身勝手な自分。
そして、最後の言葉は絶対に忘れられない。
「素直に喜んで上げられなくて、ほんとにごめん」
最後にそう告げて、部屋を出て行った彼の顔も然り。
3年も前の出来事が鮮やかに蘇るのは、一生吹っ切れないからだろう。
もしも再び、あの時と同じ分岐点に立ったとき。
今のわたしはもう1度、同じ答えを出すのだろうか…?
< 1 / 22 >